春が来ました

御定目録送りの儀

地元の祭礼行事の一つです。

２日間のお祭りのメインスポンサー（「山本（やまもと）」と呼びます。）へ目録を持っていく行事です。
ちょうちんを付け伊勢音頭を歌いながら役員全員でワカヤから山本まで町内を練り歩きます。

山本へ着くと「贅沢なお祭りはしないこと、争いはしないこと、飲みすぎないこと等が記された目録を納め、囃子を上げます。

囃子方にとっては、この時の囃子奏上が最も重要な見せ場（聞かせ場？）となります。
祭り囃子なんてのは大抵、酔っぱらってる時に聞こえてくるものですが、この時だけは役員全員がシラフで聞いているからです。

囃子が一通り奏上されると、次は、山本を受けて頂いた事に対して、中老行事（厄歳の同級生）からお礼の意味で鏡割り、宴会へと続きます。

町内を練り歩くと、ギャラリーが着いて歩いていきますが、鏡割りと同時にギャラリーへはお菓子が振舞われます。

私がガキンチョの頃は晩ご飯を食べていると「ど～～ん…、ど～～ん」と遠くから大太鼓の音が聞こえてくるのです。
私「あ！ごじょもくだ！」
母「早くご飯食べちゃいなさい！！」
なんて感じでした。

近くまで来ると「♪あ～～ら、よお～、お～いなあ～、伊勢は津でもつ、よいよい、あら津は伊勢でもつ♪」なんてゆー、伊勢音頭が聞こえてきて、もうご飯なんか食べていられません。

ちょうちんを持って歩くのが嬉しくて。
そんで風が吹くと自分のちょうちんだけ消えて
「おじさ～ん、着けて～」
なんて言ってました。

今年のごじょもくでは同級生の二男（高校２年生）が囃子方で小太鼓のソロをたたきました。
ごじょもくでソロをたたく、というのは囃子方として1人前であると認められた証です。
ちなみに私は２５か２６歳くらいになってようやく大太鼓のソロをたたかせてもらえました。

この同級生の長男（高校３年生）は昨年のごじょもくで大太鼓のソロをたたいており、今年は囃子方を卒業して若衆行司へランクアップしていました。
去年のごじょもくでは自分がたたいていた大太鼓を、今年は若衆行司の最年少役として2人で担がされているのを宴会の時に見ました。

１０年前は同級生が酔っぱらって喧嘩してるのを、おくるまの上から見つけて、
「とうちゃ～ん！ケンカしないでーーー！！とうちゃ～～～ん！」と泣き叫んでいた子が若衆行司として、ちょっとはにかんだような、それでいてちょっと澄ましたような顔をして、大太鼓を担いでいるのを見たら、酔っぱらってるのと、感動とで、ホントに泣けちゃいました。

1人で感動していたら、その同級生、とーちゃんが
(||ﾟДﾟ)　「大問題が発生した！伊勢音頭を役毎に歌い回していくことになった！内らの同級生でも誰か1人歌わなければならない！！ヽ(д｀ヽ)｡｡たいへんだー、たいへんだー｡｡(ノ´д)ノ」

その同級生は私たち同級生の頭（中老長）を務めた人です。
通常の指令であれば、こちらもすぐさま動かなければならないのですが、まぁ、この程度の問題であれば、聞き流しておけばよいでしょう。
辺りを見たら他の同級生は難を逃れるため、みんな席を離れて逃げていました。

しかたなく、その同級生は伊勢音頭を歌っておりましたが、その後には若衆行司として長男君も、囃子方として二男君も伊勢音頭を歌っておりました。

それを見ると（聞くと）また感動して、やっぱり自分が歌わなくて良かったと。

でも伊勢音頭は、とーちゃんが、一番ヘタだったな。